2010年01月04日

幹事リレーコラム 第1回

幹事リレーコラム
温室効果ガス大幅削減に向けて、フォーラムはどう取り組むか

フォーラムでは2009年度事業として、温室効果ガス大幅削減(京都市の環境モデル都市行動計画では2030年までに90年比40%削減、2050年までに60%削減)実現に向けた「中長期展望の策定と、そのための具体的な方策の検討」プロジェクトを、フォーラム幹事の参加のもと実施しています。フォーラム設立11年目を迎えた今、社会の地球温暖化防止についての意識が高まり、各主体による取組も活発にされるようになってきています。国も2050年までに90年比で温室効果ガス80%削減目標を打ち出しました。このような社会情勢の変化に合わせて、フォーラムのあり方、活動内容や方法も見直していくことが必要です。

そこで、このような背景を踏まえて、プロジェクトにご参加いただいている幹事に、望ましい京都の未来像を目指すに当たってのフォーラムの今後の役割、あり方などについて、寄稿をお願いしました。第1回目は、内藤正明フォーラム代表です。

【イラスト:京のアジェンダ21フォーラム入会案内「京のアジェンダ21フォーラムが目指す京都!」より】
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第1回 「組織を拡充し、フォーラムをエコ大変革の拠点に」
京のアジェンダ21フォーラム 代表 内藤正明
(京都大学名誉教授・特定非営利活動法人循環共生社会システム研究所 代表理事)

アジェンダフォーラムは発足以来11年がたち、この間は多くの困難に遭遇しながらも活動を続けて今日に至っている。困難の一つは、フォーラムを取り巻く外的な状況の変化である。つまり、フォーラム活動が主目的とする二酸化炭素の削減目標が、世界における温暖化議論の進行と共に、当初の10%から急激に引き上げられ、いまでは50%とか80%といったレベルになったことである。これは例えてみれば、走り始めてスピードが上がらない間に、ゴールの方がどんどん遠ざかるといった状況か。これではランナーは戸惑い、なかなか力が入らないだろう。

自画自賛を許していただければ、私はCOP3直後の朝日新聞のコラムに、“京都会議では、CO2削減の目標値を、通産省の5%案と環境庁の7%案とが綱引きをし、米国は0%削減を主張して国際的に厳しいやり取りが展開された。しかし問題は、地球危機を回避するために「すべき削減」レベルと、現在の経済成長を維持しつつ「できる削減」レベルとの差が余りにも大きい点にある。本当に温暖化を止めるには、全世界で60%近い削減が必要とされ、それは日本にとっては80%といった削減値になる。このことを想定し、「京のアジェンダ」では、交通体系や産業・エネルギー構造の変革などを含む意欲的な重点取組を提言している。”と書いた。

しかし京都会議後の10年は、我が国では本気で取り組まないための理由を探して、前向きな行動を避けてきた。ヨーロッパに上手くはめられて割を食ったとか、他国がやらないのになぜ日本が頑張る必要があるのかといった、後ろ向きの議論に終始し、財政的にも法制度的にも、温暖化防止の推進に資する本格的な行動を取らなかった。国がそのようであれば自治体も動かないし、動けない。したがって当フォーラムも、当初のような大きな提案を、具体的に進めていくことにならなかったのも当然であろう。

しかし、いよいよ温暖化議論が進展して世界が大幅な削減を言い始め、日本もようやく新政権になって、25%という提言がなされ、それがようやく定着しつつある。京都市でも、「環境モデル都市」(これは旧政権時代の決定)を目指すことになり、2030年に40%削減といった目標が打ち出された。これに対応するには、まさに当初からアジェンダが提起してきた社会の構造改革なしにはありえないと思われるので、いよいよアジェンダフォーラムの本格的な出番である。

とはいえ、このような次元の社会変革施策が市民の身近な活動だけで出来るはずがなく、市民、自治体、事業者などが一体となって、社会の根本的な変革を指向してはじめて可能である。幸い、アジェンダフォーラムは単なる市民団体ではなく、行政や事業者とも一体となって発足し運営されてきた、日本では稀な組織なので、このような事態に対応するには本来ふさわしい成り立ちを持っているはずである。ただ当初は、“足元からの活動”が主な役割と考えてきたため、その体勢もボランテイア活動の域を大きくは出なかったし、その後もそれほど大きくは拡充・発展していない。このような体勢で社会の大変革に挑戦するには困難があるだろう。たとえば、脱温暖化に決定的な役割を持つ、「あるくまち・京都」の計画が市を挙げて推進されようとしている状況の中で、アジェンダの役割はその仕事のどの辺りを担うのか。恐らく、ライフスタイル変革やその推進のための市民行動の一部を担うのが役割となるのだろうが、本来はさらに大きな仕事をしたいと考えていたはずである。

これ以外の様々な政策についても同様に、改めてこの時点で“持続可能な社会への変革”という最終目標の、どの部分をどのように担っていくかを明らかにするのは大事ではないか。モデル都市を目指すための政策全体の体系図として、現時点で仮作成された政策構造図を参考までに引用する。このような体系チャートを基に、アジェンダ諸活動を位置づけるのはどうだろう。これによって、参加者それぞれの活動が最終的にどう脱温暖化社会づくりに繋がるのかが理解され、それによって効果的な役割分担が認識され活動意欲も湧くと思われる。

しかし、組織が現状の規模と形のまま行くのなら、この体系図の中のごく一部を担うに留まるかもしれない。折角、多様なセクターが参加する、他に例のない仕組みを持つフォーラムなので、これを思い切って拡充し、これからのエコ大変革の拠点にすることを考えてはどうだろう。兵力の逐次投入は戦術としては最悪であると言われる。


■ 低炭素ロードマップ体系図
出典:「低炭素都市への京都ロードマップ」(2009年8月 京都持続可能社会研究会)
「バックキャスティング」という手法で、2030年にCO2排出量の50%削減を達成した京都市の姿を描写し、その姿にたどり着くためにどのような道筋を進めばよいかを示している。
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posted by アジェンダ at 01:00| 活動報告