2010年03月08日

幹事リレーコラム 第4回

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第4回 「パートナーシップの強みを活かして、戦略的な活動を」
京のアジェンダ21フォーラム 幹事 田浦健朗(気候ネットワーク)


■ 大幅削減に向けての課題
京都は、京都議定書採択のまちとして世界中から注目され、率先的な地球温暖化対策が期待されてきている。これまで様々な取組も実施され、国内の先進事例として取り上げられてきたものもある。その多くに京のアジェンダ21フォーラム(以下フォーラム)が関わってきた。パートナーシップ組織の先進事例としての評価も得てきている。

一方で、大幅な温室効果ガスの削減にあたっては課題も多い。これまでの温室効果ガス削減の行動は普及啓発にとどまっていることが多く、効果のある政策がほとんど導入されてきていなかった。また、削減のためには不可欠のエネルギーや都市構造に関する政策に関与することがなかったため、市民・地域の取組に限界があった。
この課題克服に向けて、京都市は「京都市地球温暖化対策条例」の見直しを行っている。今回の見直しでは、中長期目標とその方向性が明確になり、個別の政策・施策が具体的になってきている。また昨年公表された「低炭素都市京都へのロードマップ」では、今ある技術を使って2030年に30%削減が可能であることを示している。しかし、この条例の目標・内容やロードマップと現状との違いはまだまだ大きい。この違いを埋めていくことが求められている。

フォーラムがこの違いを埋める役割を担うことができるはずである。フォーラムには、具体的な活動を実践するためのワーキンググループがあり、先進的な実践活動に取り組むことができる。また立場の異なる人・組織が参加しているからこそ、政策統合に向けての合意形成に取り組むことができる組織である。ところが、現在はこのワーキンググループがほぼ休止状態、幹事会は長期にわたって開催されていない。まず着手すべきことは、幹事会で実質的な議論を行い、ワーキンググループの再開と振り返りを行うべきである。状況に応じて廃止・再編も必要であると考える。

■ 仕組みづくり、エビデンスづくり、人づくり
京都全体で大幅削減に向けて今後必要なことは、「仕組みづくり、エビデンスづくり、人づくり」などが考えられる。まず、削減のための仕組みと効果のある政策の導入である。削減に寄与している人や企業、組織、あるいは削減のための手段はそれが報われ、そして排出には相応のコストが必要となる制度(ルール)が必要である。

大幅削減のためのビジョン・シナリオはできている。地域での削減の証拠(エビデンス)を積み重ねていくことも重要である。このエビデンスが広がることでビジョンの実現性が高まり、道筋も見えてくる。仕組みづくりやエビデンスづくりには多くの担い手が必要である。企業、教育機関、地域組織などにも一層多くの温暖化対策の担当が必要である。また、公共的な役割を担う自治体関係者、地域組織、パートナーシップ組織、NPOでも専門性のある担い手が必要である。この体制を整えることで人材育成に加え、地域の雇用もうまれ、京都の活性化にもつながる。

■ 今後に向けたフォーラムの役割
これらの中でフォーラムができることも多くある。京都市地球温暖化対策条例が策定される課程でフォーラムが協働提案をつくって提言した。フォーラムには政策導入や仕組みづくりに貢献できる専門家や関係者がいて、中立的な立場から意見交換ができる場も設定することができる。ワーキンググループはこれまでも地域のエビデンスをつくってきた。全国に波及してきた「おひさま発電所」の設置もフォーラムのパイロットプロジェクト支援があったから実現できた。家電製品の省エネラベルの取り組みもフォーラムのネットワークがあったからこそ、ゼロからスタートするよりもスムーズに進んだ。既に、京エコロジーセンターには多くのエコメイト・エコサポーターが参加・協力している。フォーラムはこのセンターの中に事務所があり多くの人々とつながりもある。一層密接で具体的な連携も可能である。

国レベルでも地域レベルでも温暖化対策が次の段階に入っている中で、フォーラムが一歩先を切り拓くことができるかどうかが問われている。全てを担う必要はないと考える。これまでの蓄積とパートナーシップの強みを活かすと同時に新たな戦略に集中するべきかもしれない。まずは、これまでにつくってきた異なる立場の組織・人、専門性を有する人材のネットワークを維持し、その上で、具体的な活動等を展開しながら新たなネットワークの広がりにつなげていくことに取り組むべきであると考える。その後、「低炭素のまち京都」に向けて、フォーラムが多くの役割を担っていくようになることも期待される。
posted by アジェンダ at 00:43| 活動報告