2010年04月10日

幹事リレーコラム 第5回

第5回 「エネルギー地産地消の“京都モデル”」発信へ
京のアジェンダ21フォーラム 幹事 津村昭夫(特定非営利活動法人KES環境機構・専務理事)

「幹事リレーコラム」今月号は「事業者の立場から見たフォーラムとのかかわりなどについて」というテーマでの寄稿依頼である。

京のアジェンダ21フォーラムが設立された当時は、産業界としては大手企業を中心にISO14001をベースに環境改善活動が実施されていたが、人・物・金の経営資源が厳しい中小企業においてはISO14001は高いハードルとなっていた。そこで、アジェンダフォーラムの企業活動ワーキンググループを中心として、「シンプルで、低コストな環境マネジメントシステムの“京都モデル”KES」を策定し、主に中小企業の環境改善活動のツールとして地域のネットワークを活かし取組みをすすめた。この「“京都モデル”KES」は全国に広まり(2010年2月末現在で審査登録数は3,213件、そのうち京都府内は1,326件)、それに伴い国内においてはいくつかの「中小企業向け環境マネジメントシステム」が誕生するに至り、環境専門誌からも「KESは、中小企業向け環境マネジメントシステムのフロンティア」としての評価もいただいている。

これにより、個々の企業における環境改善活動のツールは準備でき、多くの企業で「環境管理活動」に取組まれてきた。ただ「温室効果ガス排出削減目標が6%から25%」と産業界を取り巻く外的状況が大きく変化している現在では、従来の「管理」を主体とした活動では対応が困難になりつつあり、これからは環境マネジメントシステムが備えているもう一つの機能である、環境への配慮を企業経営に統合する、いわゆる「環境経営」にウエイトシフトした取組みが必要と考える。

しかし、ご承知の通り現在世界的な不況にあり、企業経営は大変厳しい状況にある。特にKESが関係する中小企業は経営の存続そのものが問われるケースもあり、現在登録中の企業の確認審査に訪問しても操業率が50%以下で、環境改善活動の実績確認が困難な企業も多い。ところでこの不況から脱却するため、不況の震源地であるアメリカでは昨年オバマ大統領誕生と同時に「グリーン・ニューディール」政策なるものが打ち出され、日本でも新政権は「環境で雇用創出と経済回復」を提唱している。「エコロジーとエコノミーの両立」である。即ち産業界が元気になり積極的な環境改善活動を進めるためには「環境経営」が「企業の持続可能」につながる仕組みをつくることである。そこで、先に言及したグリーン・ニューディール政策の目玉の一つに「スマートグリッド(次世代送電網)」が提唱されている。これは一定のエリア内にある複数の分散型電源(太陽光発電やコージェネなど)や負荷(家庭や工場、ビルなどの需要家)をIT(情報技術)を付加してネットワーク化し、送電網を通じて双方を制御する「次世代エネルギー供給システム」のことで、いわゆる「エネルギーの地産地消システム」として注目され、新ビジネスを生み出す革新性を秘めるものとして、現在世界各国が国際標準を狙っている。

環境改善のセオリーは「Think Globally, Act Locally(地球規模で考え、地域から活動を)」といわれるが、まさしく全体の温室効果ガス排出削減目標などの大議論は各国首脳が世界の舞台で行われるが、その実現はローカルな舞台で行われる典型的な事例である。ひるがえって京都を見るとき、幸いにも世界トップレベルの環境関連やIT関連企業が集積している。問題は、これらをどのようにシステムとして活かすのかという知恵と工夫と努力が求められている。まさに学識者・事業者・市民団体・行政などによるパートナーシップで成り立っている「京のアジェンダ21フォーラム」であるからこそ実現できる事業ではないだろうか。そこで、「地場産業の活性化と次代のエネルギー政策発信」のため、「スマートグリッド”京都モデル“」をアジェンダフォーラムでの取組みとすることを提案したい。このシリーズのトップバッターの内藤代表も「京都市も“環境モデル都市”を目指すことになり、2030年に40%削減といった目標が打ち出され、これに対応するには社会の構造改革なしにはありえないので、いよいよアジェンダフォーラムの本格的な出番である」とのご指摘に適った活動ではないだろうか。
posted by アジェンダ at 13:51| 活動報告